性選択とは
- 2019/02/11
- 17:06
もうすぐバレンタインデーですね。もともとヨーロッパではカップルがお互いに花など様々なものを贈る日ですが、日本ではお菓子屋さんの策略により「チョコレートの日」のようになってしまいました。さて、ヒトを含め、動物にとり、パートナーを選ぶことは、その集団にとって非常に重要なことで、その進化にも影響を与えることなのです。
自然選択による進化の学説を主張したダーウィンを悩ませたのは、美しいオスのクジャクの羽でした。派手な尾羽は、エサを探したり天敵から逃れたりするには長過ぎて不自由です。そのうえ、目立ちすぎて天敵に狙われやすく、とても生存に有利とは考えられません。
そこで彼は、クジャクのオスの尾羽は、生存には不利でも、メスに対するアピールとして有効で、メスに選ばれた結果であるとする「性選択」(性淘汰ともいう)の考えを導入し、『種の起源』出版の12年後に『人間の進化と性淘汰』を発表しました。
ダーウィンはヒトでの性選択は働いており、男のヒゲや、少ない体毛は性選択の結果と考えていました。
いわゆる人種による皮膚や髪の毛の色の違いにも、性選択が働いた可能性があります。ヒトがアフリカから出て、世界各地に拡散しはじめたのはおよそ6万年前のことと考えられています。
緯度の高い地域に移動した集団は、日光が少ないためビタミンDが不足し、くる病に見舞われたと考えられます。この適応として自然選択の結果、皮膚の色素が少ない集団が出現したと考えられますが、それにしても、たった6万年という、進化のスケールとしては非常に短い期間で、皮膚色や髪の色、目の虹彩の色などに現在ほどのバラエティが生じたのは、性選択が影響したのではないかと考えられるのです。
さらには、ヒトに特徴的な音楽、美術、ユーモア、言語能力なども性選択の結果としての求愛行動から始まったという考え方もあります(参考1)。
私たちが好みの異性を選ぶことは、生物学的には、ヒト進化の方向づけを行っているのかもしれないのです。
<参考1>
『若い読者のための第三のチンパンジー 』
ジャレド・ダイアモンド , レベッカ ステフォフ (著)、秋山 勝(訳) 草思社文庫 2017年
自然選択による進化の学説を主張したダーウィンを悩ませたのは、美しいオスのクジャクの羽でした。派手な尾羽は、エサを探したり天敵から逃れたりするには長過ぎて不自由です。そのうえ、目立ちすぎて天敵に狙われやすく、とても生存に有利とは考えられません。
そこで彼は、クジャクのオスの尾羽は、生存には不利でも、メスに対するアピールとして有効で、メスに選ばれた結果であるとする「性選択」(性淘汰ともいう)の考えを導入し、『種の起源』出版の12年後に『人間の進化と性淘汰』を発表しました。
ダーウィンはヒトでの性選択は働いており、男のヒゲや、少ない体毛は性選択の結果と考えていました。
いわゆる人種による皮膚や髪の毛の色の違いにも、性選択が働いた可能性があります。ヒトがアフリカから出て、世界各地に拡散しはじめたのはおよそ6万年前のことと考えられています。
緯度の高い地域に移動した集団は、日光が少ないためビタミンDが不足し、くる病に見舞われたと考えられます。この適応として自然選択の結果、皮膚の色素が少ない集団が出現したと考えられますが、それにしても、たった6万年という、進化のスケールとしては非常に短い期間で、皮膚色や髪の色、目の虹彩の色などに現在ほどのバラエティが生じたのは、性選択が影響したのではないかと考えられるのです。
さらには、ヒトに特徴的な音楽、美術、ユーモア、言語能力なども性選択の結果としての求愛行動から始まったという考え方もあります(参考1)。
私たちが好みの異性を選ぶことは、生物学的には、ヒト進化の方向づけを行っているのかもしれないのです。
<参考1>
『若い読者のための第三のチンパンジー 』
ジャレド・ダイアモンド , レベッカ ステフォフ (著)、秋山 勝(訳) 草思社文庫 2017年
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