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オジギソウがおじぎをするワケ

オジギソウは、葉っぱを刺激すると素早く葉を折りたたむ(おじぎをする)特徴があります。私も子供の頃これが不思議で、飽きずに何度も突っついた覚えがあります。最近、このワケが日本の研究者により解明されました。面白いので今回紹介します(またしてもヒトの話でなくて恐縮です)。解明したのは埼玉大学大学院のグループと基礎生物学研究所生物進化研究部門の研究グループとの共同チームです(参考1、2)。まず、「どのよう...

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白亜紀の地層で1億年も眠っていた微生物

ペーボ博士が4万年前のネアンデルタール人のゲノム解読に大変な苦労をしたことをお話しましたが、化石などからDNAを抽出して解読できるのは、数万年前が限界とされています。ただしこれは、「死んだ」組織の話で、「生きた」生物だと話は違ってきます。2年ほど前、日本の研究者が、海底に堆積した一億年前の地層から微生物をみつけ、培養してみたところ、ちゃんと与えたエサを取り込んで増殖した(つまり生きていた!)という驚...

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『遺伝人類学入門 ー チンギス・ハンのDNAは何を語るか』

今回はこの本の紹介です。著者の太田博樹博士は、ペーボ博士が創設に深く関わった、マックスプランク進化人類学研究所にポスドク研究員として留学していたことのある先生で、現在は東京大学の教授としてゲノム人類学研究室を率いています。タイトルはちょっといかめしい感じですが、まずは高校の生物レベルの、遺伝子、染色体、DNA、ゲノムといった概念からおさらいしていて、特別な予備知識がない方でも大丈夫です。前回紹介した...

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『交雑する人類 古代DNAが解き明かす新サピエンス史』

『交雑する人類 古代DNAが解き明かす新サピエンス史』 デイヴィッド・ライク著、日向やよい訳、NHK出版 2018年今年度のノーベル賞を受賞したスヴァンテ・ペーボ博士は、単にネアンデルタール人のゲノムを調べただけではありません。この研究をとおして、「古代ゲノム学」とも呼ばれる、新しい学問分野が創設されたのです。著者のデイヴィッド・ライク博士は、かつてマックス・プランク研究所でペーボ博士と共同研究し、その後も...

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『ネアンデルタール人は私たちと交配した』:本人がつづった波乱万丈の回想録

スヴァンテ・ペーボ著、野中香方子訳 (株)文芸春秋発行、2015年この本は、スヴァンテ・ペーボ博士が自ら記した回想記です。数年前に購入して斜め読みしたままだったのを。この機会に改めて読んでみました。スウェーデン生まれのペーボ博士は、もともと考古学に興味があり、大学でエジプト学を専攻したものの、学問の将来性に疑問を感じて、医学部に移りました。父親が医学研究者だったことも影響したようです(なんとプロスタグ...

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プロフィール

ドクターS1

Author:ドクターS1
つくば市の内科クリニック副院長。専門は腎臓内科・透析医療。人類遺伝学(遺伝医学)の大学院で博士号取得。

ヒトの進化、特に疾患との関わりについて勉強したことを皆様にわかりやすくご紹介したいと思います。

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